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もう一度(9)

ゴオオオオル、クリスチアーノ▪ロナウドのFKがネットに突き刺さる。
「マジかよー、なんでお前そんなに強いんだよ。やってらんねえ」コントローラーを仙一が放り投げる。
「ウイイレで負ける気はしないね。わざわざハードを持ってきてまで負けに来るとはな」
「もう止めた。それよりさっきの女の子の話だが相当なお嬢様だぞ」
「お嬢様?」
「八月一日なんて珍しい名前だから恐らくだがいくつも事業展開してる、フランス系の社長の娘だよ」
「お嬢様が柴犬なんて飼うか?不釣り合いだろ」
「知らん、意外と庶民的なのかもよ」
確かにジーンズにカーディガンの着飾った格好ではなかった。ブランド物かもしれないが。
「まぁ、俺ら庶民とは住む世界が違うんだよ。金がないとね」
「金ねぇ、そう言うの飽きたんだよなー」
「何言ってるんだよアメリカで無一文になって戻って来たくせに、じいさんの家が残っただけ運が良かったんだろ」
アハハと大笑いをする。
「じいちゃんの家だけは絶対に手放したくなかったから必死こいて働いたよ」
「それは置いといて絢のことどうするのよ」
「どうするって?」
「衆議院議員の田中公平いるだろ?その一人息子が絢にプロボーズしてるんだわ。地元の名士だから、無下に出来ないんで仕方がなく相手してるらしい」
「へー」
「お前なーそんなんだから上手く行くものも行かないんだよ。サッカー部のマネージャーになったのも東京の専門行ったのも全部お前のためだろうが。」
仙一の言葉にぐうの音もでない。
「とにかく伝えたからな。後は自分で何とかしろ」

翌日、オレはダルそうな足取りで約束の場所に向かう。
仙一が帰ったあと過去を振り替えったら無限ループにはまりほとんど一睡もできなかった。
店内には絢が先に席に付いていた。
「急に呼び出してごめんね。」
「暇人のオレに気を使わなくていいよ」
「雰囲気のいい店でしよ?私のお気に入りの場所なんだっ、晋作こう言う店来たことないでしよ?」
「そんなことないさ」
ふーん、とつまらなそうにする。
そう、こんな店来るわけがない。あの娘と昨日来てなければ。よりによってアンコーラとは神のいやがらせか?
オレ達は当たり障りのない話題に終始した。
少し間が出来たときに絢が意を決したように話し出した。
「私まだバレエを続けてるの」
意外な言葉に面食らってしまった。
「今は本格的にバレエ漬けの毎日なんだっ、親は呆れてるよ」
「美容師は辞めたの?」
「親の手伝いをするだけ、ほとんどやってない」
「銀座のホステスは?」
「今度のコンクールに優勝したら、フランスに留学できるの、だからそのために貯金したくてやってたの」
そう言うことだったのか、おかしいと思った。
「コンクールはいつなの?」
「明後日。。。」
「明後日って急だな。」
「うん、バレエ関係意外には親も友達も知らない。仙一にも話してない、だから、不安で。。。」
「そっか」
「もう一度夢に向かって頑張りたいの、後悔はもうしたくないから」
「。。。」
「コンクールに備えなくちゃいけないからもう帰ろう?」
お互い黙って歩いている。気まずいわけではない。なにを話していいか分からないからだ。
そんな時、重低音を響かせてフェラーリが横付けしてきた。
中から出てきたのは高級なイタリアンスーツに身を包んだキザな男だ。
「絢さんこんなところで会うなんて偶然ですね。」
「田中さん。。。」
こいつが仙一が言ってたボンボンか。
「そちらの男性は?」
「幼なじみの人で久しぶりに会って話してたんですよ」
田中は舐め回すようにオレを見る
「僕が忙しくてなかなか会えずにすみません。今度埋め合わせにご馳走しますんで許してください」
「はい。。。」
「では、僕は父のチャリティーパーティーでVIPのお世話をしなければいけないので失礼します。」
自分はアホですと主張するフェラーリの重低音が痛い。
「あの人のことなんだけど」
オレは話をさえぎり「仙一に聞いたよ。嫌なやろーだったな」
「悪い人ではないんだけど、しつこくて。。。」
「あんなアホほっとけ、それよりコンクールで最高の演技が出来ることだけに集中しろ」
「そうだね、今日はありがとう。気持ちが軽くなったよ」
いつもの笑顔だ。当日はベストを尽くせるだろう。
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[ 2015/12/24 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

もう一度(8)

子供たちの楽しそうな声が公園内でこだましている。
鬼ごっこや、サッカーなど見ていてほほえましい。
まだ女性は来ていないようだ。
ハチとも今日で最後、名残惜しいが仕方がない。
ベンチに腰かけているところにサッカーボールが転がってきた。
ハチが勢いよく駆け出す、油断してリードを離していた。
「あーごめんね、邪魔しちゃったな。ハチ戻るぞ。」
リードを引くがボールから離れようとしない。
「かわいー」子供たちが集まってきた。
次々に頭をなでてみんな嬉しそうだ。
気がついたらハチと一緒にボール遊びに夢中になっていた。
「お待たせしました」
女性が声をかけてきた。振り向くとそこにはフランス人形のような顔立ちの若い女性がいた。右目の目尻にある泣きぼくろがかわいさにアクセントをつけている。
「こんにちは、八月一日さんですね?」
女性は驚いた様子で返事がない。そりゃそうだろ、大の大人が子供とボール遊びしているんだから。
「ごめんなさい、びっくりしちゃって」
おかしくてたまらない感じだ。
「ですよねー、恥ずかしいところ見られちゃったな」
「いいと思います。子供の頃のままで変わらないのは」
ハチが女性に飛び付く。
「ハチー戻ってこれてよかった」
頭をなでて嬉しくてたまらないようだ。
「あ、自己紹介まだでしたね。楢舘って言います。サッカー元日本代表の楢崎の楢に舘ひろしの館です」
「お互い珍しい名前ですね」
うふふと笑う
「本当にありがとうございます。何かお礼をしたいんですが」
「礼なんていいですよ、こっちも楽しかったんで満足してます。」
「でも、それでは申し訳ないので何かさせてください、お茶でもどうですか?美味しいケーキもあるお店を知っているんです」
「じゃあ、ご馳走になります」
甘党のオレはケーキと言う言葉に軽くのせられてしまった。もちろん彼女のかわいさにつられたのも事実だ。

アンコーラと言う店内は飾ってある絵から食器まで全てが調和した心地のよい空間だ。仙一と行った店とは大違いだ。
更にお茶とケーキがめちゃめちゃ美味く文句の付けようがない。
「ほんといい店だなー。気に入っちゃった。美夕さんセンスあるねー」
「そうでしょうか、気に入ってもらえて嬉しいです」
初対面だったが何故か昔からの知り合いだったかのように話が弾む
「ハチのおかげでこんな出会いがあるなんてなー、いいことはするもんだ」
「そうですね、偶然の出会いってありますよね、また会えるか分からないですけど」
微笑みがどことなく悲しい感じがする。
「そうだね、機会があったらまた会おう」
「はい」
やはりどこか引っかかる微笑みを浮かべる。
店を出たオレはハチと最後のお別れをする。
「いつでも連絡してきて下さい」
社交辞令を残し立ち去った。
不思議な娘だったな。
人当たりのよさが初対面を感じさせなかったんだろう。
オレにはまた会いたい人っていたっけかな。
考えてみたがいねーな。
ちゃっかりお土産に買ったケーキを楽しみに家路につく。

[ 2015/12/11 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

もう一度(7)

「王手」こぎみのいい音を鳴らして宣言した。
「いやー相変わらず晋ちゃんは強いわ」
中年男が苦笑いを浮かべながら答える。
ここは将棋道場。
子供の頃よく通った所だ。
自慢だがオレは7段だ。
もっとも、ネットなので正式ではないが。
「また来るわ」
おっさんどもをボコり気分よく後にする。
さてこれからどうしようかと信号待ちに思案する。
ふと、となりの電柱に目をやると犬の写真が貼ってある。
迷い犬、八月一日、間違いなくハチのことだ。
携帯番号の脇に八月一日と書いてあるってことはどうやら名字のようだ。
オレはスマホを取りだし番号にかけてみる。
数回コールしたら出た。
「はい、はっさくです」女性の声で返事が来た。
「すみません、間違えました。」
まったく間違い電話とは間抜けだ。
今度は慎重に番号を確かめる。
またもや、さっきの女性にかけてしまった。
オレは、もしやと思い聞いてみる。
「あの、八月一日と書いてはっさくと読むんですか?」
「はいそうですが」
なんて間抜けなんだオレは。八月一日と読む名前なんてあるわけねーだろ。あらかじめ調べておくんだった。
オレは自分の無能さにへきえきした。
「すみません、読み方がわからなくて」
「いえ、いいんです。珍しい名前ですから。ところでどの様な御用件でしょうか。」
オレは張り紙を見たことと保護してることを伝えた。
「本当ですか?心配してたんです。ハチが戻ってこなかったら私立ち直れなかった」
安堵の様子が伺える。
「ハチって名前なんですね」
偶然にも同じ名前を付けてたのか
「はい、単純ですよね」
くすっと笑いながら答える。
オレが迷いに迷った名前が単純。。。
しばしショックで言葉がでない。
「あのう、どうかしました?」
「いえ、なんでもないです、それよりハチはいつ渡せばいいですか?」
「出来るだけ早い方がいいです。いつでも時間を開けます。」
暇をもて余しているオレは相手に合わせるつもりだったが意外に家が近いことと早く会わせたかったのでこのあとどうかと提案したらすんなりOKが出た。
「じゃあ、天沼公園で待ち合わせで」
「はい、なるべく早く行きますのでよろしくお願いします」
通話が終わり、家の方向に向かう。
ハチともお別れか、短い仲だったな。
出会いの後に別れが来るなら出会わなければ良かったと思うやつもいるだろうが例え一時でも幸せな気持ちになれたのならそれでもいいと思う。

[ 2015/12/08 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

もう一度(6)

真冬の早朝二日酔いでオレは外を歩いている。
もちろん好きでこんなことをやっているわけがない。
ハチに叩き起こされたからだ。
最初は帰りたくて仕方がなかったがやってみると案外楽しいものだ。
ハチはオレの様子を伺いながらペースを合わせてくる。
やはり、頭のいいやつだ。
「よし、そろそろ帰るか」
朝の冷気ですっかり気分のよくなったオレは足取り軽く家路につく。
珍しいことをすると思いもかけないことが起こるとこのあと知らずに。

朝飯に子供の頃よく通ったサンドイッチ屋に寄る。
タマゴサンドをほおばりなから歩き食いをすると祖父にだらしがないと叱られた記憶がよみがえる。
懐かしい思い出に浸っていたらほんとに懐かしいことになってしまった。

「晋作。。。」
目鼻立ちの整った背の高い水商売風の女がいる。
「絢。。。」
こんなとこで会うとは間が悪い。
お互い沈黙が続く。
「もう、帰ったんなら連絡いれてよー」
明るい調子で声をかけてきた
「いやーすっかりお前のこと忘れてたよー」
こちらも調子を合わせる
「それより、お前その格好何だ?」
絢がするはずのない出で立ちの疑問を聞く
「あー、これ?」
キョトンとした顔をする。
「たまに、アルバイトで銀座でホステスしてるんだー。どう?似合ってる?」
ウインクをして聞いてくる。
「似合っているっちやぁ似合ってるけど」
確かに似合っている。銀座の売れっ子ホステスと言われても納得するくらいキレイだ。
「その可愛い犬は?」
目を細めハチを見つめる
「あー拾ったんだよ。ハチって名前だ」
「拾ったって、飼い主さんが探しているんじゃないの?」
オレは、今頃そんな単純なことに気付いて声が出なかった。
「もう、ほんと昔から変わらないんだから」
飽きれたとばかりにため息をつく。
「私このあと用があるからもう行くね。ちゃんと飼い主さん探しなさいよ」
捨てぜりふを残し立ち去った。あの頃と変わらない美しい立ち姿で。
「なぁハチこれからどうする?」
オレは困り果て思わずハチに語りかける。
ワンとひと吠え。

[ 2015/12/06 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

もう一度(5)

こいつ誰だと目配せしてきた。
二人とも知らないということはただの雑魚だろう。
「ほんとあの頃のお二人はすごかったすよねー。近隣に無敵のコンビで知れ渡っていましたからねー」
雑魚が懐かしそうに話す。
そう、当時オレたちはサッカー強豪校で汗を流し全国レベルの実力を誇り近隣に一目置かれていた。
ただ、全国への切符はついに叶わなかった
なぜなら全国3連覇と言うしゃれにならん強さの超強豪校がいたからだ。
オレたちは絶望し、生まれた時代を呪った。
その腹いせに近隣のヤンキー共を片っ端から狩りまくった。
おかげで最凶の晋仙組と有難迷惑なコンビ名で恐れられていた。
もっとも船中の生徒は安心安全な学生生活をエンジョイ出来たので少しはいいことをしたのだろう。
とにかくオレたちの触れてほしくない黒歴史を掘り起こした罪は死に値する。
オレは雑魚の顔面に裏拳をかました。
血しぶきとともに歯が舞い散った。
と、言う妄想をしてしまった。
妄想が現実になる前にとっとと追い出そうとしたとき
「そう言えば晋作さんはアニメすきでしたよね?」
「まあな、今期もチェックはかかしてないよ」
「実はうちのかみさんもアニメ好きでして、今頃まどマギにはまっちゃいましたよー」
なに?まどマぎ?
「もうグッズを買いまくって蒼樹うめ先生の展覧会にまで行っちゃいましたよー」
うれしそうに話す。
オレは微笑みながら「お前仮面ライダー龍騎は観たのか?」
「いやー俺ライダーよりウルトラマン派なので観てないっすねー」
「お前龍騎を観ずにまどマぎを語ったのか?」
オレは若干語気を強める。
「え、いや・・その・・・・あの・・・・」
雑魚は若干ではなくかなりテンパった様子。
「龍騎について聞きたいか?」
「はい!!!」
「龍騎を語ってほしいか?」
「お願いします!!!」
目にうれし涙を浮かべ直立不動で答える。
「あ、わっりー俺用事を思い出したわーまた今度ゆっくり飲もうぜ」
テーブルに5000円札を置いて素早く退散する。
オレは仙一がいなくなった席を指さし早く席に座れとうながす。
「龍騎がライダー史上の傑作であり、まどマギが萌えでオタクども釣り龍騎のパクリだということを教えよう」
オレは語った。
龍騎の存在が特撮番組に変革をもたらしたことを、龍騎以前、以後がキリストの誕生に匹敵することを
そして、早くまどマギから目を覚ますように諭した。
雑魚は丁寧に礼を述べまどマぎのマインドコントロールから逃れられたようだ。
尺が短すぎて龍騎を十分に語ることが出来なかったことに一抹の不満を抱いたが2時間程度で語りつくせるはずがない。
「一仕事終えた後のビールはうまい」
オレは急ピッチで飲み続けた。
翌日二日酔いになるとも知らずに。
[ 2015/12/04 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

もう一度(4)

駅前ロータリーにある時計台の前で人待ちだ。
あのやろー30分も遅れやがって。
時間厳守と向こうが言ったのに。
オレがイライラを募らせているところに
「おっす。お待たせー」
かるーい感じで男が現れた。
「お前30分も待たせやがって」
「いやーわりーわりービールおごるから勘弁してね」
全く悪びれた様子がない。
こいつとはいつもこんな感じだった。
懐かしさでついついほほが緩んだ。
「仕方ないそれでかんげんしてやるよ」

居酒屋きゅうべえ
名前は古臭いが店内はシックな装いでコンセプトのよくわからない店だ。
とりあえずビールで乾杯をし昔話に花を咲かせた。
「いやーあの頃はほんとよく練習したよなー」
「ちょっと待て、お前地獄のランニングはよくさぼってたじゃないか」
オレはすかさずツッコミを入れる。
「そうだっけ?とにかくサッカー漬けの毎日だったよなー」
「ほんとそうだよな。あの頃は何の疑問も持たずにサッカーだけだったな」
大好物のチャンジャをつまみに酒が進む。
「あちょっと、トイレに行ってくる」
オレは席を立ちトイレに向かった
「あれー晋作さんじゃないですかー」
小男がなれなれしく声をかけてきた。
「あー久しぶり」
こいつが誰だか思い出せなかったが話を合わせる。
「いつ帰ってきたんですか?言ってくれれば歓迎会を開いたのに」
「あーそれは悪いでしょ。」
「何言ってるんですかー。それより仙一さんとはもう会ったんですか?」
「あー今一緒に飲んでるんだよ」
「マジですかー。伝説の晋仙組の復活ですね。後であいさつに行きます」
小男は軽い足取りで消えていった。
「そっちのほうか・・・」

オレは顔を引きつらせて席に戻った。
「うん?どうした?」
オレの様子が変なことに気づいたのだろう
「いや、昔の知り合いに会ったようだ」
「会ったようだ?」
何のことだと顔が訴えてる。
「そんなことより飲もう」
何もなかったかのように飲みなおしていたのを例の小男がさえぎった
「ちわーっす、あいさつに来ましたー。晋仙組再結成おめでとうございます」
途端に仙一の顔がくもる。
[ 2015/12/03 ] 小説 | TB(0) | CM(0)





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