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宇宙の忘れ物(3)


到着早々爆弾テロに合ったボクは警察署に向かった。

面倒な手続きを任されたからだ。

まぁそれ以外に理由はあったのだが。

ただし問題が一つある。

何でクソチビ女が一緒なんだ?

何故かこのクソチビ女と行動を共にすることが多い。

面倒な手続きをしている間こいつは携帯でゲームをやってやがる。

何しに来たんだ?

一連の手続きが終わった。

ボクは喫煙所で一服していた。

クソチビオンナの視線を感じる。

早く済ませろと言いたいのだろう。

ボクにはもう一つやらなければならないことがあるんだが・・・

もうタバコも残り僅かだ。

終わりかけのタバコをもみ消し新しいタバコをくわえた。

「うわ、すげーいい女!」

隣にいた若い男が声をあげた。

外のモニターを観ている様だった。

ニュース画面には色白の美人が映っていた。

ボクは思わずタバコを落としてしまった。

「深雪」ぽつりとつぶやいた。

タバコを拾い上げ火を点けずにしまった。

「警察官にしとくにはもったいねー」

男の言葉を聞き流してボクは喫煙所を出た。

「田中おせーんだよ、ほんとトロイな」

シェリーの嫌味も上の空だ。

ボクは無言でホテルへ急いだ。



ホテルに戻ったボク達は早速作戦会議を開いた。

MIMの本拠地は町の中心部にある超高層ビルだ。

こんな目立つところにあるのに警察は手を出せずにいる。

政財官が入り乱れて汚職を繰り返す火星は文字通り無法地帯だ。

MIMは華僑を中心としたテロリストだ。

そのネットワークは宇宙中に繋がっている。

こんな巨大な組織を何故一民間企業が相手どるようになったのかその経緯が謎だ。

山崎がドスの効いた声をあげた。「5日後MIMのリーダー王の誕生パーティーがある。既に手はずは整っている。

お前たちはホテルの従業員になりすまして潜入し王を生け捕る。

所詮はただのテロリスト俺たちプロの相手じゃない」

「一人ど素人が混じってるけどね」シェリーがボクを皮肉を込めた目で見る。

「田中は防衛大出身だ。実戦経験はないが技術は保障する」

山崎のフォローが痛い。実戦経験がないんじゃ皆から信頼されるわけがない。

この日は一通りの作戦の流れを確認して解散となった。



公園の桜を眺めていた。

満開の桜を見るといつも同じ記憶が蘇る。

ベンチに座りタバコをふかしながら過去の記憶をさまよう。

何本目かのタバコを吸い終わろうかとしている時に待ち人は現れた。

歳の頃は20代後半、人形の様に小さな顔、雪の様に白い肌、腰まである黒髪が美しく風になびいている。

細身で高身長、凛とした立ち姿が絵になる文句のつけようのない美人だ。

ボクの目を真っ直ぐ見つめながら近づいてくる。

吸い込まれそうな黒曜石色の目だ。

ボクの隣に座った彼女は無言で封筒を渡した。

ボクも無言で受け取った。

沈黙が苦しい。

どれ位の時が流れたか彼女は席を立った。

ボクは彼女の肩に手をかけようとしたが、「深雪」その一言を発するので精一杯だった。

彼女は振り向いて寂しそうな何とも言えない表情を見せてから行ってしまった。

ボクはタバコを一本取り出し吸った。

あの時以来か。

深雪は更に美しくなって僕の前に現れた。

もう会う事はないと思っていたのに。

不味い。

こんなに不味いタバコは久しぶりだ。







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[ 2013/03/25 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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