FC2ブログ

2019 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312019 09






宇宙の忘れもの(11)

「よう久しぶりだな。」ボクは明るく返事をした。

「携帯の番号教えてたっけ?お前とは友達になった覚えはないんだけどな。」

嫌味の一つでも言いたくなる。

「俺はお前のことが気になって仕方がなかったけどな。くっくっく」

山崎の不気味なセリフが気になる。

「で、要件はなんだ?」本題に入る。

「爆弾の場所を教えてやろうと思ってな。」またしても山崎が不気味なセリフを吐いた。

「そいつはありがたい是非教えてほしいね。」

「独立記念の聖母子像だ。」

え、あっさり答えが返ってきた。何を考えている・・・

「まぁ解体は無理だがな」余程自信があるのだろう。

嘘か本当か分からんがこの情報を早く知らせねば。

「やってみなければ分からないぜ?」

「無理だ。だが方法が一つだけある。」

嫌な予感がする。

「どんな方法だよ。」

「知りたければ屋上に来い。」

・・・間違いなく何か仕掛けてくるな。

「お前の言うことを信じられると思うか?」

「選択肢は二つだけだ。電話を切るか屋上に来るかだ。さあ選べ。」

2択か。それにしても灯台下暗しとはよく言ったものだ。

あんな目立つ物に仕掛けていたとはな。発見したとしても解体出来るのだろうか。

「これはゲームだ。お前とはフェアに勝負したい。」

フェアか。

「いいだろう。屋上で待ってろ」





カンカンカン非常階段の足音が破滅へのカウントダウンのようだ。

全速力で駆け上る。屋上までどれくらいかかるんだ?

それにしても忌々しい。山崎の野郎のんきに聖書など朗読していやがる。

おかげで子供の頃を思い出してしまった。

ボクは一時期教会に通っていた。別に信心深かった訳ではない。

退屈な説教の後のお菓子とその時好きだった女の子に会えたからだ。

子供などそんなものだ。神だの愛だの救いなどどうでもいい。

はぁはぁはぁ、さすがに息が切れてきた。もうすぐ屋上だ。こんなこと止めて風呂に入って寝たい。

少しペースを落とす。屋上では何が起こるか分からない。呼吸を整えておかねば。

目の前にやっと待ち望んだ扉がある。これを開けたらゲームスタートだ。





ドアを開けた瞬間ビル風が吹き付けてきた。汗だくのボクには最高のご褒美だ。

辺りを見回したが山崎の姿は見えない。

「おい、どこにいるんだ。」

「そのまま真っ直ぐ進め。」

真っ直ぐ?どこからか見張ってるのか?辺りに目配せする。

「そう警戒するな。」間違いなく山崎はボクを見ている。どこから?

言われたとおりに真っ直ぐ進むと不自然なアタッシュケースが置いてある。

こいつは・・・

「やっと会えたな。」

「は?どこにいるんだよ?」

「目の前だ。」

目の前ってまさかあの向かいのビルか?遠くにあるにはあるが・・・

「アタッシュケースを開けろ。このゲームの重要アイテムが入っている。」

起爆装置でも入っているのか?留め金を外したら予想外のものが入っていた。

なんてこった。中身はライフルだった。

「もう言わなくても分かるよな?」

ボクは黙ってライフルを組み立てた。ゆっくり、あくまでゆっくりだ。

狙撃で重要なのは精神力だ。どんなに技術があっても指が震えたらおしまいだ。

ライフルを組み終わりスコープから向かいのビルを見る。

山崎がいた。双眼鏡片手にVサインをしている。

「ルールは簡単だ。そいつで俺を打ち殺せばお前の勝ち。外したらボカンだ。」

上着のポケットから小さなリモコンを取り出した。起爆装置だろう。

「ちょっと遠すぎないか?フェアじゃないぞ。」

「お前の射撃の腕は知っている。なかなかのもんだな。くっくっく」

そんなことまで調べたのか。どこの情報だ?公式記録を見たのか?

「さぁゲームの開始だ」






スポンサーサイト



[ 2014/04/10 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://betabetao.blog.fc2.com/tb.php/26-1dfc6e20