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もう一度(6)

真冬の早朝二日酔いでオレは外を歩いている。
もちろん好きでこんなことをやっているわけがない。
ハチに叩き起こされたからだ。
最初は帰りたくて仕方がなかったがやってみると案外楽しいものだ。
ハチはオレの様子を伺いながらペースを合わせてくる。
やはり、頭のいいやつだ。
「よし、そろそろ帰るか」
朝の冷気ですっかり気分のよくなったオレは足取り軽く家路につく。
珍しいことをすると思いもかけないことが起こるとこのあと知らずに。

朝飯に子供の頃よく通ったサンドイッチ屋に寄る。
タマゴサンドをほおばりなから歩き食いをすると祖父にだらしがないと叱られた記憶がよみがえる。
懐かしい思い出に浸っていたらほんとに懐かしいことになってしまった。

「晋作。。。」
目鼻立ちの整った背の高い水商売風の女がいる。
「絢。。。」
こんなとこで会うとは間が悪い。
お互い沈黙が続く。
「もう、帰ったんなら連絡いれてよー」
明るい調子で声をかけてきた
「いやーすっかりお前のこと忘れてたよー」
こちらも調子を合わせる
「それより、お前その格好何だ?」
絢がするはずのない出で立ちの疑問を聞く
「あー、これ?」
キョトンとした顔をする。
「たまに、アルバイトで銀座でホステスしてるんだー。どう?似合ってる?」
ウインクをして聞いてくる。
「似合っているっちやぁ似合ってるけど」
確かに似合っている。銀座の売れっ子ホステスと言われても納得するくらいキレイだ。
「その可愛い犬は?」
目を細めハチを見つめる
「あー拾ったんだよ。ハチって名前だ」
「拾ったって、飼い主さんが探しているんじゃないの?」
オレは、今頃そんな単純なことに気付いて声が出なかった。
「もう、ほんと昔から変わらないんだから」
飽きれたとばかりにため息をつく。
「私このあと用があるからもう行くね。ちゃんと飼い主さん探しなさいよ」
捨てぜりふを残し立ち去った。あの頃と変わらない美しい立ち姿で。
「なぁハチこれからどうする?」
オレは困り果て思わずハチに語りかける。
ワンとひと吠え。

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[ 2015/12/06 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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