FC2ブログ

2019 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312019 09






もう一度(12)

会場には、パンフレットや花束を持った人だかりでごった返している。
オレはパンフレットを手に取り目当ての名前を探す。
No.13高坂絢
開演にはまだ時間がある。楽屋に行けば絢に会えるが迷った末にホールに向かう。
思ったより広いな。最後尾で立ち見をする。
最初の一人目の演技が始まる。
何回か見たがバレエは高い身体能力を要する厳しい種目だ。
素人目にもかなりのハイレベルなのが分かる。
次々演技が終了し絢の出番が来た。
リラックスはしているようだ。
ジゼルは絢の得意演目だ。
しなやかな動きで表現する絢の演技は上手く説明が出来ないが人を惹き付ける何かがある。
ホール内の全ての人間が絢に釘付けだ。
演技を終えると静まり返っていた反動で割れんばかりの拍手と歓声だ。
どうやら、最高の演技をしたようだ。
オレは、踵を返しホールを出た。

スマホのバイブが鳴り電話に出る。
「晋作ー私優勝したよー」
絢が興奮した様子で話す。
「これから、祝勝会をやるのほんとうれしい」
「そうか、よかったな」
「何よ、その素っ気ない反応」
不満そうな様子が電話越しに伝わる。
「オレは、何もしてないしお前の努力に対して余計なことは言えないよ」
「そんなことないよ、晋作が来てくれたから私の全てを出しきれたんだから」
「は?オレが会場に居たなんて何で分かるんだよ」
「分かるよ、晋作なら来てくれるって。全てお見通しなんだぞ」
クスクス笑う
「そっか」
「でも、これでまた会えなくなっちゃうね」
絢の声が少し落ちる
「。。。」
「今日は皆とお祝いするけど明日改まって仙一と3人でやろうね」
「明日はイブだぞ?」
「あなたたちがイブに予定があるわけないでしょ。もう、電話切るね。じゃあね」
一方的にイブの予定を決めやがって。
オレは、仙一に電話をし事の成り行きを話す。
「マジかよー、こっちだって色々予定があるんだよ。」
「だよな、悪かったな絢には話つけとくよ」
少し間が空いてから
「やっぱ行くわ。3人で何かやるのもこれが最後かもしれないしな」
「そうか、恩に着る。また連絡するよ」
通話が終わりオレは、これが最後かもしれないと言う言葉がいつまでも頭から離れなかった。
スポンサーサイト



[ 2016/01/14 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://betabetao.blog.fc2.com/tb.php/51-94147c6a