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もう一度(15)

走った。全力で走った。サッカー部の地獄のランニング以来だ。苦しさはあったが一秒でも早く会いたかった。
息を切らせて公園に着く。呼吸を整え辺りを見回す。
姿は見えない。噴水のある場所に向かう。
彼女はベンチに腰掛けていた。
「楢舘さん」驚いた様子だ。
「こんなところでどうしたんですか?」
オレは返答に困ってしまった。無我夢中でここまで来たが何て言えば良いんだ。
「楢舘さんの宝物って何ですか?」
オレにとってのか。。。
「私はこの公園での楢舘さんとの思い出が宝物なんです」
柔和に微笑む。
「8ミリ見たよ」
ぽつりと呟く。
「今まで気づかなくてごめん」
「ずいぶん昔のことですし忘れちゃいますよね」
くすっと笑う。
「私はすぐに分かりましたよ。昔のままでした。」
申し訳ない思いでいっぱいだ。
「あの時のこと覚えてますか?」
オレは鮮明に当時のことを思い出していた。
「覚えているよ、ハチをここで拾ったことやお互いの夢を語ったことを」
「私あの頃一人ぼっちで不安で本当に胸が張り裂けそうだった。」
オレ達は家族関係に問題を抱えていてその事が親密さを深めさせた。
「約束を果たせてほっとしたよ。」
オレは心の重荷がとれて安堵の表情を浮かべた
「私ずっと待ってたんですよ、あの時からずっと」
「ずっと?」
「イブに必ずここで待ってたんです。」
彼女はオレが別れる前に何気なく約束した言葉を信じて待っていたのにその事を忘れ、美夕ちゃんに会って初めて思い出した。
「美夕ちゃんオレ。。。」
言葉がつまる。
「やっと昔の呼び名で呼んでくれた。おにいちゃん会いたかったよ」
初めてあの頃の微笑みを見せた。
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[ 2016/01/29 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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