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もう一度(完)

舞台の上で華麗に舞うバレリーナが目の前に居る。
夢を叶えた姿だ。
「晋作にドガの絵が分かるの?」
絢がクスクス笑う。
「お前と何回見に来ても絵の事はさっぱりわかんねー」
上野で見たバレリーナのポスターを思い出し初めてオレから誘ったのだ。
「いつ来ても、変わらない答えだね。」
「いつまでも変わらないのがオレなの」
クリスマスなのでカップルがやたら多い。
絵が好きな絢の為に来たはいいが落ち着かないところだ。
適当に相づちを打ちながらやり過ごした。

外に出るとクソ寒くてこたつが恋しくなる。
さっさと済ますか。
「クリスマスプレゼント渡すわ」
オレは古びたオルゴールを渡す。
「これって、タイムカプセルに入ってたやつだよね?」
「引っ越すときに渡し損ねた、思い出と言う付加価値が付いた逸品だ。」
「少しでも期待した自分が恥ずかしいよ」
絢は頬をふくらます。
オレは構わず蓋を開ける。
ドビュッシーのアラベスクが流れる。
絢が目を丸くする。
「これってダイヤ?本物?」
「本物の訳ねーだろ。偽物、偽物」
「だよね、晋作にそんな甲斐性あるわけないよね」
「本物は成り上がって渡してやるよ。」
「いつに成ることやら、フランスに行っちゃうしね」
「多少の貯えはあるさ、オレならフランスだろうが金くらい直ぐに稼げる。」
「え、それって。。。」
「宝物はもうなくしたくないからな」
時が止まったかのように沈黙が続く。
「アメリカでヘタこいたダメ男が偉そうなこと言うな」
「それ言っちゃう?」
一緒にゲラゲラ大笑いする。
「そろそろ帰るか」
雪が降りだした中、オレ達はお互いの手に懐かしい温もりを感じた。
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[ 2016/02/01 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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