FC2ブログ

2019 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312019 09






平成の達人

ここは、新宿歌舞伎町。3人の男女が楽しく会話しながら練り歩いている。
「これから、僕が懇意にしているイタリアンレストランでご馳走します。ファミレスとは違う本場仕込みですよ。」
田中は、庶民に一流を味会わせたいようだ。
「本場のイタリアンってどんな味なんでしょうね。楽しみです。」
美人受付嬢の麻子は期待に胸を膨らませる。
「私、ファミレスでしか食べたことないです。」
麻子の引き立て役の地味な富士子も同様だ。
「楽しみにして下さい」
二人の方を向いて歩いていた田中は男と肩がぶつかる。
「おい、人にぶつかっておいてそのままスルーかよ」
チンピラ二人組が因縁を付ける。
「失礼」
上から目線で対応する。
「このやろーナメてるのか?」
田中の襟首を掴んだ瞬間チンピラは宙に舞った。
もう一人を手首の関節を極め締め上げる。
「いてて、参ったもう勘弁してくれー。」
激痛に顔を歪めたまらずわびを入れる。
二人組はそそくさと逃げ出す。
「田中さん凄いです。」
麻子が驚きの声を上げる。
「かっこよすぎです。」
富士子も同様だ。
群衆もどよめいている。
「多少、合気道の心得があるだけですよ。」
ドヤ顔をする田中。
田中は子供の頃その技のキレから最後の達人と称された、塩田剛三を彷彿とさせると絶賛された。
「武道家は無闇に技を使ってはいけないんですが暴力に屈するわけにはいきませんから。」
「降りかかる火の粉は払わないといけないですよね。
麻子が尊敬の眼差しを向ける。
「平成の達人ですね。」
富士子も同様だ。
田中は自己満を続けようとしたところに背後から声がかかる。
「兄ちゃん俺にも教えてくれよ。」
「何か用かい?」
振り返った田中の顔面が青ざめる。
視線の先には身長二メートル弱、体重130キロオーバーのスーパーヘビー級がいる。
顔は悪さしかしたことがありませんと訴えかける凶悪な人相だ。後ろにさっきの二人組がいるところを見ると、どうやらボスのようだ。
「フッ、僕は無益な戦いは好まない、さぁ二人とも行こう。」
出来る限りの虚勢を張りその場から逃げ出そうとする。
「田中さんやっつけちゃって下さい。」
挑発をする麻子。
「悪党をのさばらせてはダメです。」
同様の富士子。
「さあ、達人の技ってやつを俺にもかけてくれよ」
ボスキャラがドSの笑みを浮かべる。
にっちもさっちもいかなくなたった田中は何とその場に土下座をし額を地面に擦り付けた。
「調子に乗ってすみませんでした。どうかこの通りです。お許しください。」
助かるためなら恥も外聞もない田中の情けない姿に冷たい視線を浴びせる麻子と富士子。
群衆も完全にシラケきっている。
神に助けを祈る田中。
その時、男が通りかかった。
「あれ?田中のボンボンじゃん。こんなところで何してるんだ?」
「君、僕を知っているのか?頼む助けてくれ金ならいくらでも払う。」
「何で俺がそんなことしなくちゎいけないんだよ。」
立ち去ろうとする男をボスキャラが呼び止める。
「お前も土下座しろ。」
「関係ねーだろーが。」
「お仕置きされたいのか?」
ボスキャラが凄味を効かせる。
「お尻ペンペンされるのはそっちだろ。」
男は挑発で返す。
「ぶっ殺す。」
ボスキャラが殴りかかったその刹那一般人は一生聞くことはないであろう音が響き渡りボスキャラは地面に崩れ落ちた。
カウンターが顎にヒットし、ワンパンで瞬殺だ。
「すごーい」麻子と富士子が同時に矯声をあげる。
群衆も大盛り上がりだ。
相手が悪すぎた。男はその昔、最凶の晋仙組と恐れられた歴戦の猛者だ。
「助けて頂きありがとうございます。」
麻子は瞳をうるわす。
「本当に助かりました。」
富士子も同様だ。
「君達に被害が及ばなくて良かったよ。」
ニコリと笑う。
二人は恍惚の表情だ。
「俺、仙一って言うんだけどこれから飲みに行くんだが一緒に行かない?」
「一緒に連れて行って下さい。」
麻子は二つ返事だ。
「仙一さんと飲みたいです。」
富士子も同様だ。
「よーし、じゃあ行きますか。」
3人は意気投合して飲み屋に向かう。
群衆は何事もなかったの様に立ち去る。
完全に忘れ去られその場に一人おいてけぼりにされた田中は生暖かくなったパンツを買い換えにうつ向きながらドン▪キホーテに歩いていく。
スポンサーサイト



[ 2016/02/16 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://betabetao.blog.fc2.com/tb.php/59-698345af