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星くずの夜(後)

序盤から食い仕掛けで、安手ながら山上がリードを奪う。
点差は、余り着いていないが流れは山上だ。
このまま山上が独走すると想われたとき、「ロン」美里が西と9ピンのシャボを山上から直撃する。
それが始まりだ。字牌の変則待ちから始まり、それを警戒した山上から、本手の大物手を上がる。疑心暗鬼になった山上は、美里がリーチをすると降りるのか突っ張るのか分からない中途半端な捨て牌をし、手牌はボロボロ。あっというまに大差で勝負が着いた。
「やったー流石、美里ちゃん」宍倉が歓喜の声を上げる
皆ほっとした表情で張積めた空気が和む。
このまま終わろうとしたときに「まだだ、まだ終わらない」
山上が呻いた。
「今度は、サシウマ300万だ。裏ありでな」
「山上てめーふざけんな、そんなの受けるわけねーだろ」
金子が怒鳴り声を上げる。
「美里ちゃん無視して早く帰ろう?」
宍倉が心配そうに美里を見る。
「いいだろう」美里は二つ返事だ。
「美里ちゃん」皆声を揃える。
「ただし、倍の600万だ。」
これには山上も声が出ない。
「アタシと勝負する奴は絶対に無事で済まさない」
山上は、瞬順したが「新宿の魔女か、噂通り恐ろしい女だぜ。だが、アンタの首を獲れば俺はこの業界で一気に成り上がれる。やるぜ」

サシウマ600万の勝負が始まった。
同卓になった他の二人は馬鹿げた高レートに緊張で手が震えまともに打つことが出来ない。
「二人ともいつも通りに打てばいい。アタシは負けない」
美里に声をかけられ、腹を決めたのか手の震えも止まり場を乱さないことにのみ集中した。
手積みの裏技ありの麻雀は、一瞬の隙が勝敗を左右する。
お互いを牽制し、膠着状態の合間に他の二人が上がる。
東3局、親の美里の6順目に美里が発をポンする。
既に中をポンしているので、大三元の可能性が出た。
美里の捨て牌は白。
「脅かしやがって」山上がクックッと笑う。
更に次順、美里はなんと白を手牌から捨てた。
大三元を自ら放棄したのだ。
「このガキがああああ」挑発するような美里の打ち回しに怒りをあらわにする。
美里を見守る、金子と宍倉も不安な表情だ。
2順後今度は9ソーを暗カンする。ドラ表示牌は白、一気にドラ3、リンシャン牌の発をカカンすると何とまたしてもドラ表示牌は白、ドラ8の怪物手におお化けし、そのままリンシャン牌をつもって親の三倍満をかっさらった。
あまりにも華麗な美里の上がりに、呆然とするしかない。
その後は、早上がりと安手を他の二人に差し込み場を素早く回す。
山上は、為す術もなくオーラスを向かえる。
点差は、圧倒的。子の山上は、三倍満直撃か役満ツモでしか逆転はない。
勝負は着いた。
だが、異変が起こる。
山上がドラの発を暗カンしカンドラ表示牌は白、ドラ8の手に化け、既に中をポンしてあり手牌は、小三元テンパイ。リンシャン牌は白を仕込んでありきっちり数え役満でまくる計算だ。
「魔女さんよお、アンタの伝説もここまでだな」
山上がゆっくりリンシャン牌をツモった途端動きが止まる。
山上のツモった牌は白ではなく、東だった。
何故だ???東???ミスったか?そんなはずはない!
混乱した山上が動けないのにはもう1つ理由がある。
風牌が極端に切られてないからだ。
東は既に二枚切られている。
あるとしたら地獄待ち単騎しかない。
これは偶然ではない。白が東にすり変わっていたのは必然だ。
意を決したのか、牌を卓に叩きつける。
「ロン」
美里の倒した手牌は、東、地獄待ち小四喜。

熱い勝負が終った。皆、喜ぶよりも緊張感から解放されぐったりしている。
「宍倉さん、もうこんな馬鹿なことしちゃだめだよ。」
「うん、うん、ごめんね美里ちゃん」
泣きながら美里の手を握っている。
「美里ちゃんは、何でそんなに強いの?」
宍倉の唐突な質問にきょとんとする美里。
「牌の声が聞こえるの。私に勝てって」
満面の笑みで美里は答えた。
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[ 2016/04/06 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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