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星くずの夜(2.7)

ごくありふれた朝食。
美里は、寝ぼけ眼で黙々と口に入れる。
「いつも遅くまで夜更かししてるからよ」
母親がやれやれといった調子だ。
「だってー、今ゲームで忙しいんだもん。」
「加奈ちゃん家に、迷惑かけるから程々にしなさいよね。」
「あまり気乗りはしないんだけど、付き合いってのがあるのよ。」
「嫌ならやらなければいいのに。」
あっけらかんと言う調子だ。
「そう言う訳にはいかないの。」
「はいはい、来年は受験なんだからしっかり頼むわよ。」
「はーい、いってきまーす。」
美里は、元気よく席を立った。

某コーヒーチェーン店で、紙ナプキンでバレリーナを折る美里。
「あんたが、それしてる時って何かいつもと違うんだよねー。」
「そう?」
「うん。」
「昔、折ってもらって以来ゲン担ぎに折るようにしてるんだよね。
ちょっとしたお守りみたいなものだよ。」
「芸達者な知り合いがいるのね。」
「うん。凄い人だよ。」
「何をするのか知らないけど、いつもの美里に戻ってよね。」
「はーい、それじゃあいつも通り加奈の家にいるってことでよろしくねー。」
伝票を手に取り美里は手を振り店を出る。

ヘブンズドアは、いつも以上の大賑わいだ。
例の大物政治家以下、著名人も数多く見受けられる。
派手な演出でメインイベントの前にこれでもかと言うくらいに盛り上げる。
狂騒とはこのことを言うのだろう。
この世の天国か地獄かは知らないが、武藤の姿は見えない。
武藤は、レストランにいた。
正面には観月がいる。
「武藤さん、大勝負の前に随分と余裕ですね。」
「お前の真意が知りたくてな。」
「何を知りたいんですか?」
「オレを、引っ張り出して何をしたいのかだ。」
「言ったはずですよ?私はただ楽しみたいだけです。」
観月はいつもの微笑みを浮かべる。
「武藤さんの望み通りの展開じゃないですか。何が不満なんですか?」
「オレは、あの時以来、都合が良すぎるものは疑うようにしている。」
「いい心がけですね。」
「沢村をそそのかしたのはお前だろ。」
「沢村さんは、あなたに複雑な感情を持っていましたからね。
ほんの少し、彼の本音に語りかけただけです。」
「今回も、小細工を弄してそうだな。」
「さあ、それはどうでしょう。」
観月は、紙ナプキンをいじりながら答える。
「相変わらず器用だな。」
「昔、あなたに差し上げた物ですが、いりますか?」
「そんな昔のことなど覚えてないな。」
「そうですか。素敵なバレリーナなんですけどね。」
観月は残念そうに答える。


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[ 2016/08/19 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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