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星くずの夜(2.9)

今夜も、ギャンブルの信者がここに集った。
ギャンブルと言うものは恐ろしい。
自分だけが勝つと信じきっているからだ。
負けることなどこれっぽっちも考えていない。
結果は朝までに決まる。
朝までに・・・

決勝は、半荘4回戦の合計得点で決まる。
半荘ごとに15分間の休憩を挟む。
もちろんこれは、対局者を気づかってのものではなく、
更に金をふんだくろうとする、ヘブンズドアーの意図だ。
ギャンブルに付き物の着順予想も行われる為、半荘終了時に莫大な金額が動く。
濡れ手に粟とはこのことだろう。
一番人気は、武藤。対抗は小池となっている。
アナウンスが客を煽り、4人が登場すると大歓声だ。
場決めが行われ、東家、武藤 南家、美里 西家、小池 北家、沢村となった。
運命を決める戦いが始まる。

まずは、一回戦と言うこともあり、武藤は様子を見る。
小池と沢村も同じく様子見だ。
美里だけ、いきなり全開スタートだ。
積極的に仕掛け、場をリードする。
東場終了時まで、小池と沢村は一切動かない。
どうやら、美里を泳がせ弱ったところに食いつこうという腹なのだろう。
そうなると、コンビ打ちの二人に合わせることは武藤にとってはマイナスとなる。
仕掛けざる負えない。
武藤は、美里に真っ向から立ち向かう。
お互いの手の内を知り尽くしている二人だが、武藤には空白の時間がある。
その間、修羅場を潜り抜けてきた美里に対抗するには経験と勘だけが頼りだ。
互角の展開が続いていると素人目には映るであろう。
だが、プロの目からは武藤が厳しい。
ミスともいえないほんのわずかな齟齬が生じている。
点棒には、現れない差が積み重なるといつか破たんする。
ここはまだ勝負所ではない。
武藤は、修正するための打ち回しに専念する。
美里のダントツのトップで一回戦は終了した。

15分間の休憩が与えられた。
会場では、金が飛び交う乱痴気騒ぎだ。
勝者と敗者がこれほど分かりやすい画もないだろう。
各々事情は違うが、勝つか負けるか二つに一つ。
これだけはすべての人間に平等である。

武藤は、控室で己の状態を再確認している。
どこがいけなかったのか?
凡人はあそこであれを切ればよかったなどと思い悩むのであろう。
武藤は違う。
自分の体に問いかけるのである。
自然な動作で澱みなく打てたか?
無駄な動作はなかったか?
体の隅々にまで問いかける。
こちらの方はどうとでもなるが問題は対局状況だ。
美里の独走を許してはならない。
しかし、小池と沢村は動かない。
武藤は、3人を相手に一人で現状を打破しなければならい。
何か策はあるのであろうか?
なければ待っているのは敗北である。
足掻くしかないだろう。
武藤は、戦いの場に戻った。
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[ 2016/09/01 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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