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星くずの夜(2.10)

2回戦が始まった。
さて、状況はオレにかなり不利となっている。
先ずは、美里の独走を止めなければ。
親番の美里を連荘させないこと、それだけの為に打つ。
手牌は、役牌で行くかタンヤオで行くか悩ましい牌勢だ。
どちらでも行けるように1ピンの対子落としをする。
食い仕掛けをするつもりだが、上りは厳しそうだ。
小池か沢村に差し込む事も視野に入れる。
8順目に、早くも美里から先制リーチが入る。
オレは対子の中を切る。
それを、小池がポンをする。
数順後、ツモった3ピンを小池に差し込む。
3900点の振込だが致し方がない。
美里の猛攻をオレがしのぐ展開が続き、それを小池と沢村は高みの見物だ。
どうやら二人は徹底して持久戦で行くようだ。
オレの親番までしのぎきるしかない。
しのぐと守るは違う。
隙あらば反撃する攻撃的な打ち方だ。
オレは、しのぎに自信はあるが勢いに乗る美里を止めるのは至難の業だ。
元々オレ達の雀風は正反対なので持久戦になりやすい。
お互いに、全神経を張り巡らせる消耗戦の様子を呈してきた。
それにしても、いつも以上に攻撃的な美里だ。
少々の手損は承知の上で怪力でねじ伏せようとしてくる。
しのぎ切れるか・・・
ダムの水が決壊しそうな危うい状況が続く。
とにかく、しのいでしのいでしのぎ続ける。
やっと親番が回ってきた。
しかし、配牌は一向に良くならない。
安手を一回上がるのが精いっぱいだった。
その後も、終わりの見えない攻防が続く。
美里が、これ程の打ち手になるまでにどれだけの夜を過ごしたのかオレには分かる。
2回戦も美里がトップに立った。
オレ達は、正に青息吐息ってやつだ。
後半から、力を溜めて温存していた小池と沢村が仕掛けてくるだろう。
狙いはもちろん美里だ。
小池は、剛腕でねじ伏せるタイプ。
沢村は、冷静に場に合わせるタイプ。
考えうる限りの最強のコンビだ。
この二人のコンビ打ちを美里は防ぐことは出来ないだろう。
美里が崩れたら、流れが劇的に変わる。
それを阻止したいが、オレにはそんな余裕はない。
状況は悪くなる一方だ。
何かを起こさなければならないが、あの二人にそれを期待しても無駄だ。
オレが、策を練っているところに招かれざる客がやって来た。
観月だ。
「武藤さん、大分追い詰められていますね。」
「今回はお前の思惑通りになったな。」
「ええ。でも、このままでは楽しくないので朗報を持ってきました。」
「信用は出来ないが聞いておこう。」
「あの二人は必ずしも一枚岩ではありません。」
「根拠は?」
「沢村さんは、あの時あなたをだまし討ちした事を今でも、非常に後悔しています。
今回も小池さんと組む事には不本意なようです。小池さんも、沢村さんの事を信用しておらず
常に警戒しています。信じるかは武藤さんにお任せします。」
「相変わらず、何がしたいのか分からないやつだがその情報は信じよう。
お前を楽しませることになるのはしゃくだがな。」
「幸運をお祈りします。」
観月は楽しくて仕方がない様子で消えた。
勝機があるとすればそこだけだな。
オレは、僅かな可能性に賭けてみることにした。



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[ 2016/09/03 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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