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星くずの夜(2..11)

会場では、着順予想でかなり荒れていた。
美里が2連勝をするとは予期していなかったからだろう。
想定外の展開に、怒号まで飛び交っている。
一番人気に躍り出た美里だが、何もわかっていない。
これから美里は、苦戦をしいられるからだ。
ここで、真に怖いのは沢村だ。
場をコントロールする能力に長けた沢村によって破壊力のある小池が自由に動かれたら手に負えなくなる。
だが、小池をアシストすることに専念している鉄壁の沢村を攻略できるだろうか。

天王山の戦いが始まった。
オレの配牌はマンズのホンイツ気配だ。
まずいことになった。
牌が偏っている。
小池に、他の色が集まっている可能性がある。
案の定、見え見えのピンズの染め手だ。
小池に小細工は一切必要がない。
ただ、上りに一直線に向かえばいいだけだ。
オレも仕掛けたいが、沢村から有効牌がこぼれるとは思えない。
「ポン」
沢村が絶妙なタイミングで小池を鳴かす。
そのまま満貫をツモられてしまった。
その後も、沢村に場をコントーロールされてしまう。
ひたすら勝利のみを求めた冷徹な打ち筋だ。
つけ入る隙が全くない。
小池は苦も無く3連荘だ。
オレが沢村を攻略する前に勝負が決まってしまう。
美里にまだ力が残っているか・・・
東一局4本場が始まった。
ここが勝負所なのは全員が分かっている。
オレは、多少強引なことをしてでも流れを変えたい。
それを阻止しようとする沢村。
この構図が一向に崩れない。
その時、待望の美里の先制リーチが入る。
待ちは、マンズの下か、ソウズの上かどちらかだろう。
現時点では判断出来ない。
下手なことをするべきではない、ここは美里に任せるべきだな。
オレは、見に決め込むことにした。
だが、小池は無筋を平然と切る、全ツッパ。
弾幕の嵐の中をまるで気にかけずに歩くかの様だ。
そして、どちらの運が強いか試すような小池の追っかけリーチだ。
美里と小池の一騎打ち。
事の成り行きを見守る事しか出来ないのが歯がゆい。
打牌の音が、運命のカウントダウンに聞こえる。
「ロン」
美里が、小池に放銃してしまった。
手牌は何とただのリーのみ。
「くっくっく、どうやら運が向いてきたようだな。」
小池の勝利宣言だ。
勝負はついた。
その後は防戦一方の消化試合。
美里にいたっては、その後も小池に振り込み、ハコる寸前にまでなった。
オレは、何とか沢村の網をかいくぐり2着に滑り込んだ。
会場は、ますます大荒れになった。
本命の美里のまさかの失速と、小池の台頭。
点数的にはオレにも優勝の可能性があるにはあるが流れは小池だ。

最後の休憩時間に入る。
控室では上機嫌な小池が沢村に話しかける。
「全て予定通りだ。武藤には、お前が付いている。後は美里をゆっくり料理するだけだ。」
「そうだな。」
「何だ?気に入らないのか?」
小池が、ヤクザもビビる異様な迫力で沢村を睨む。
「あっけなく終わったのが物足りなかっただけだ。」
「お前、余計なことをするつもりじゃないだろうな?」
「俺とお前は似ても似つかないが一つだけ共通点がある。負けることを何よりも嫌うことだ。
俺は、あの人に負けたくない。」
「くっくっく、勝負事で負けたらゴミだからな。」
小池は、ロールケーキを手づかみで食らいつく。
「負けたら、ゴミか・・・」
沢村は、つぶやいた。



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[ 2016/09/12 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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