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星くずの夜(終り)

ヘブンズドアが終焉を迎えてから数か月、何の変哲もない田舎の雀荘に女が訪ねてきた。
店の主人は、この不思議な女に目を奪われた。
「武藤さんはいますか?」

堤防で相も変わらず釣れない魚を待ち続ける男がいた。
「今度は、釣れますか?」
女が後ろから声をかける。
「お前からは、どうやっても逃げることが出来そうにもないな。」武藤が答えた。
観月は、武藤の隣に腰かける。

「警察に追われているんじゃないのか?」
「その辺は抜かりなくお金で解決済みです。」
観月はくすっと笑う。
「自分で作り上げた物を何故ぶち壊した?」
「飽きてしまったんですよ。あの人達に。」
おもちゃに飽きた子供の様に言う。
「武藤さん、私は愛情と言うものを知らずに育ったんです。
母は幼いころに亡くし、父に認められたくて勉学に励んでハーバードまで行ったのに、
あっけなく亡くなり、後に残ったのは莫大な遺産だけ。」
「ハーバード?」
「私は、日本人ではないですよ。」
「・・・そうだったのか」
「日本に来たのは、母の故郷だっただけです。ここもつまらないところかと思ったところにあなたに出会いました。
一目で本物だと分かりました。あの時はうれしくて仕方がなかったです。」
観月は本心から語っているようだ。
「そりゃ光栄だね。」
「あなたは、本当に私を楽しませてくれました。」
観月は、ニコッと微笑む。

「これからどうするんだ?」
「さあ、何も考えていません。」
「オレは、田舎で隠遁生活したいね。」
「それは、無理でしょう。あなたは、根っからの勝負師です。」
「かもな・・・」
武藤は、つぶやく。
「また、いつか武藤さんを遊びに誘うのでその時はよろしくお願いします。」
「オレは、お前の誘いには断れないんだろうな。」
「どうしてですか?」
「お前の事が、好きだからだよ。」
きょとんとした顔になる観月。
「冗談に決まってるだろ。二度と顔も見たくない。」
ぷ、あっはははははは
観月は初めて心の底から大笑いをした。




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[ 2016/10/05 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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