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欠片を求めて(4)

平木は、当直の合間にコーヒーを飲みに自販機に向かう。
自販機の前には、先客がいる。
脳外科医の、沢井マサキだ。
「今日は、当直か?」
「はい、今日は、のんびり過ごせてますよ。沢井先生は?」
「気になる患者がいてな。用は済んだから、もう帰るがな。」
「沢井先生に、執刀してもらえれば患者も安心ですよね。」
沢井は、何も言わずコーヒーを飲みほし
「何でも治せる医者なんていない。」
そう言って立ち去った。
後に残された平木は、沢井の言葉をはんすうして立ち尽くしていた。

「平木先生?」
机に肘を着き顎を支えたまま動かない平木に
宮が、大丈夫この人と言った感じで声をかける。
「あ、ごめん。何かあった?」
「何もないけど、いつも以上にボケッとしすぎ。」
「いつもって・・・」
「そんなんだから、桜井先生の雷が落ちるのよ。」
痛いところを突かれる平木。
「桜井先生って何であんなに厳しいんだろうね?」
「さあ、私はここでの勤務は短いからね。本人に聞いてみたら?」
「出来ないこと言うなよ。さて急患が来るまで寝てるから後よろしく。」
大胆と言うか、時に平木は、二面性があるように思われるときがある。
だが、そんな所が平木の魅力であるのも事実だ。

当直を終えた平木は、公園を散歩している。
この公園は、平木のお気に入りの場所だ。
木々に囲まれると体の芯から洗い流されてるような清々しい思いがする。
「こんな所で何しているの?」
突然後ろから少女が話しかけてきた。
「何だ君か。労働の疲れを癒しているんだよ。」
「この前飲み物をおごってくれるって言ったよね?」
「あーそんな事もあったね。」
「もう、忘れてたな?約束は守らないとだめだぞ。」
「近くに自販機はないけど。」
「もういいよ。」
少女は呆れ顔だ。
「高そうなカメラだね。」
少女が、手にしているカメラを指さす。
「そうでもないよ。値段はそこそこだけど性能には満足してる。」
「写真かー。ボクにはセンスが無いから縁の無い物だけどね。」
「じゃあ、試しに私を撮ってみてよ。」
少女は無邪気に笑う。
「え、そんなの無理だよ。下手すぎて見せらんないよ。」
「いいからー。早く撮ってよ。」
少女は強引に平木にカメラを渡す。
困惑しながらも、仕方がなくシャッターを押す。
「どれどれ、うっわーホントにセンスないね。」
クスクス笑う。
「悪かったな。もう帰るぞ?」
分かってはいても、面と向かって言われて平木は機嫌を損ねた。
「あー怖い。じゃあ、またねー。」
少女は、風のように去って行った。

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[ 2016/12/02 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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