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欠片を求めて(7)

「平木先生〜この前お渡ししたパンフレットは見ていただけましたか〜?」
目の前に、暑苦しい事この上ない営業スマイルの斉藤がいる。
「はい。拝見させて頂きました。今は、検討中なので後程お伝えします。」
事務的な返事で返す平木。
「平木先生〜この新製品は、我が社のおすすめ品なんですよ〜。」
ゴミにしかならない、パンフレットを開いて見せる。
「よろしかったら、この後いいお店を知っているんで、そこで今後のお話をしてみませんか〜?」
露骨な接待を持ちかけてくる。
「桜井先生に、聞いてみないと何とも言えません。聞いてみますか?」
桜井の名前を出した途端、斉藤の営業スマイルがかき消される。
「あ、いえ、桜井先生のお手を煩わせる訳にはいきませんのでまた出直してきます。」
そそくさと帰る斉藤。
平木は深いため息をつきコーヒーを買いに自販機に向かった。

その後も、斉藤は懲りずにほぼ毎日平木の元を訪れるが、その度に桜井の名前を出し追い払ういたちごっこだ。
平木の、我慢の限界突破する日も近い。
そんな、一進一退の攻防の最中久しぶりに少女と会話をする機会を得た。
とりとめのない話だが、少女の笑顔を見ているだけで何か救われたような気にさえなる。
最近は、お互いの事を少しずつ話し始めたので会う度に新しい発見がある。
別れを告げ、気分を一新して仕事に向かう平木をぶち壊す物が目の前にある。
斉藤だ。
「平木先生〜お久しぶりです〜。」
昨日会わなかっただけで、久しぶりの再会になるのかと呆れる平木。
「平木先生〜そろそろいいお返事を貰えませんかね〜?」
忙しなく手を揉み合わせながらたずねる。
その卑屈な態度が、物の見事に絵になる斉藤。
「斉藤さん、取りあえず桜井先生には話しておきますので、しばらくここに来るのを控えてもらえませんか?」
若干キレ気味の平木。
「本当ですか〜?よい返事を待っています〜。」
空気が読めないとはこの事を言うんだろうと納得する平木。
「では、これで。」
相手にしないで立ち去ろうとする平木。
「そう言えば、さっきの女の子はどうしたんですか?」
斉藤が、少女の事を聞いてきた。
「あの子はボランティアで来ている子です。それがどうかしたんですか?」
「いえ、たまに見かける子だったんで聞いてみただけです。」
「そうですか。忙しいのでこれで。」
一刻も早くこの場を立ち去りたい平木は足早に消えた。
後に残された斉藤。
「ボランティア?うん???確かあの子は・・・ま〜いっか〜。」
平木から、新製品の受注を取り決めたと勝手に思い込みウキウキで帰途に就く斉藤。
数日後、桜井からボロカスに言いくるめられるとも知らずに・・・


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[ 2017/02/02 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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