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欠片を求めて(9)

「また、ぼけっとしてるー。」
宮が、うわの空でいる平木にいつもの調子で声をかける。
「早く、桜井先生の論文の資料まとめないと大変なことになるわよ。」
「ああ。」
平木の、いつもとは違う反応に宮が不審がる。
「どうしたの?何かいつもと違うんだけど、何かあった?」
しばし、沈黙の後
「別に、何もないよ。ちょっとコーヒーを買ってくる。」
宮は、平木の後姿を心配そうに見続けた。

平木は、しばらく少女の姿を見ていない。
ただ来てないだけなのか、それとも・・・
迷った末に平木は、足取り重く脳外科に向かう。
もうすぐ脳外科に着くと言うところで目の前に少女を認めた。
「平木先生、久しぶりー」
眩しいくらいの笑顔だ。
「ちょっと話しようよー。」
平木の、手を引っ張る。
平木は、その手をゆっくりとほどき
「ほんとはボランティアじゃなかったみたいだね。」
少女は、一瞬顔が曇る。
「何だ、ばれちゃったのか。」
イタズラを叱られた子供のような返答だ。
「頭痛が、ひどいから来てるだけだよ。」
「それだけじゃ無いだろ?」
「それだけだよ。」
ぶっきらぼうに答える。
「先生には、関係ないんだからもうこの話は止めて。」
「そう言う訳には、行かないよ。」
「しつこい、さよなら、もう話しかけないで。」
少女は、靴音を高く鳴り響かせて足早に消えていった。




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[ 2017/03/12 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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