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欠片を求めて(10)

平木は、脳外科の沢井を訪ねた。
「どうした、こんなところに来て。」
沢井は、いつものクールな表情で平木を迎えた。
「どうしても知りたいことがありまして。ここでは話せないので場所を変えていいですか?」
「コーヒーが飲みたかったからちょうどいい。行こう。」
沢井は、すっと席を立つ。

自販機で二人はコーヒーを買い、中庭のベンチに腰掛ける。
「何が知りたい?」
「先生の患者についてです。ボクには何も出来ませんがどうしても知りたいんです。」
平木の、様子を黙って見つめる沢井。
「お願いします。」
「誰についてだ?」
平木は、これまでのいきさつを沢井に話し出す。
沢井は、表情を崩さず何も言わない。
全てを話し終わって沢井が重い口を開く。
「脳腫瘍だよ。危険な状態だ。」
平木は、言葉が出ない。
「薬物療法が、上手くいっていたんだがな。」
「助からないんですか?」
「手術をすれば可能性はなくはない。だが、彼女がそれを望んでいない。」
「どうしてですか。早く手術しないと。」
平木が、沢井に食って掛かる。
「彼女が、助けを求めたら俺は、全力で手助けする。だが、手術を強制することは出来ない。」
「そんな。。。」
言葉につまる平木。
「医者は、無力だ。だが、一人の人間として、彼女の力になれることはある。」
沢井は、鋭いが優しい目で諭すように平木に語りかける。
「お前が、出来ることを彼女のためにしてやれ。」


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[ 2017/03/19 ] 小説 | TB(0) | CM(0)

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